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失敗は成功の母 若い人達へ(2010年9月掲載)

2010年9月

今回は7月に引き続き、「選択」の問題をとりあげます。若い患者さんから「これからどうすればよいだろう」と相談されることが時にあります。その時の助言の中のひとつをご紹介したいと思います。

「選択肢」の問題として考えてみる方法です。この場合、「選ぶべき道」という意味ではなく、「選びうる道」ということです。言いかえると、「自分は何がしたいか」とか「何をするべきか」と考えるのではなく、「何ができるのか」と考える必要があるだろうという事です。ここが大事です。

人間、どうしたらよいかわからなくなる事が時々あります。右へ行くのも苦しい、左に行くのもつらい、あれもいやだがこれもいや、そのような気持ちになることは誰でもあり得ます。逆に、せっぱつまって「いちかばちか」の心境になることもあり得ます。しかし、どちらもあまり健康的な判断にはならないでしょう。こんな時にどう考えればよいのでしょう。

こんなときこそ、「選択肢」の考え方が役に立つでしょう。具体的には以下のようにします。

いったい、どんなことができるのか、いくつかのパターンを考えてみる。そう多くは浮かばないはずです。3から5パターンは考えておきたいところです。あまり多いと訳がわからなくなります。多くても5つぐらいにとどめた方が無難です。
どれが一番ましか考える。どれが一番よいかではなく、ましな道をえらぶのがコツです。
うまくいかず、途中でやめるにはどうするか。これは2パターンぐらいは考えておきたい所です。
次に優先順位をつけます。そしてとりあえず、「最もまし」なものを一つ選びます。
すぐには実行せず、できれば1週間ぐらい待ちます。
1週間たって、気持ちが変わらなければ実際にやってみます。この場合のコツは100%ではなく、30%でも60%でもできるところまでやるのが大事です。
結果がでたら。考えましょう。多分、大成功、大失敗とも少ないはずです。「まあまあ」な結果が多いはずです。

ざっと書くとこんな感じです。「何だ、こんなものか」と思われるかもしれません。若ければ若い程、結果についてはなかなか納得できないはずです。普通です。しかし、期待した程の結果はまず出ません。たまたま、すばらしい結果がでたとしましょう。まぐれです。早く忘れましょう。明らかな失敗だった時にはタイトルを思い出しましょう。「失敗は成功の母」、事実だと思います。少し休んでまた、挑戦しましょう。人生は高校野球のような1回勝負ではありません。プロ野球のように長期間にわたる「平均点」が大事になります。少しでも平均点がよくなるように工夫していくとそれなりの結果はでます。すばらしいものかどうかは保証できませんが、そうつまらないものでも無いと私は思います。

図:失敗は成功の母 若い人達へ

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