2002年新年ご挨拶

新年明けましておめでとうございます。

年末年始の休日には、職員の方々、ご家族の皆様も大過なくお過ごしのこととお慶び申し上げます。また、休日にも関わらず病院の業務に当たられた方々には大変ご苦労をおかけいたしました。1997年6月にセンターが開設されて、本年6月でまる5年が経過することになります。一つの区切りの時期にたどり着いたと感じています。開設のときに提案しました「医療活動方針」、経営コンサルタントを導入して、2000年2月にさらに具体化した「リハビリテーション・精神医療センターの今後の運営方針」のほとんどすべての課題がこの間に動き出しました。それらの実績を概観すれば、センターの揺籃期が着実に経過し、昨年の6病棟オープンはまさにセンターの揺籃期の終了を示す事業であったと評価しています。

今年はセンターの成熟を賭けて病院活動、地域活動を展開するこれからの5年の第1年目と位置づけることができます。多分、これまでの一定の成功を基にしながら、この五年をどう刻むかがセンターの帰趨を確定してしまう程に重要な時期になると考えています。

この時期は、習慣化した身の回りの非合理を発見し、修正する謙虚さと、安定を指向する傾向を振り払って、変革を求める勇気が必要となるに違いありません。

このようにセンターが新しい課題に向かう時点であること、医療機関のあり方に様々な疑問が投げかけられていることなどを鑑みて、管理会議と運営会議では日本医療機能評価機構の病院機能評価をセンターとして受けることと致しました。病院機能評価は、第三者的立場から病院の機能を評価し、質的向上を図る事業を支援するものであります。その結果、適切な病院機能と認めらられれば、認定証が発行されます。1年間程度の期間に、機能評価のための組織体制を作って進めることになると思いますが、全職員の方々にはよろしくご協力下さるようお願い致します。

病院機能評価には多数の評価項目があり、実際に機能評価を受けるときには、それらの項目に適合するように技術的な工夫も必要となります。しかし、その内容を整理してみると、その骨格は「適切な医療」、「安心できる医療」、「満足のいく医療」にまとめられると考えています。これらの3つは私たちが日常的に求めている医療そのものであります。

病院機能評価を契機に、センターの医療を一層充実するさせるために、どのような改善が必要なのかをそれぞれの職場で点検して頂きたいと思っています。「適切な医療」とは、必要なことが必要なときに、適切な場所でなされる医療であります。日常診療の質の確保、看護の適切な提供など医療そのもののレベルとそれを支える教育・研修体制を見直すことになります。また、地域における役割、他機関との連携、地域のニーズとの関係を吟味することになります。

「安心できる医療」は、患者さんが決して損なわれることのない医療であります。医療事故防止の体制を確立すること、プライバシーを保護すること、災害に対する備えが充分であること、などが重要となります。事故を生じさせない体制、事故や災害が生じても最小にとどめる体制、すなわち、常に最悪事態を予防する体制を目指すことが重要であります。

「満足のいく医療」は、患者さんの精神的安寧に留意し、物理的環境の快適さを追求する医療であります。外来通院や入院生活へのサービスの改善、アメニテイに関わること、インフォームドコンセントなど患者の自己決定に関わることが検討されます。自己決定に関してはセンターの患者の特性から、とくに吟味の必要な課題であろうと考えています。これらの課題に取り組む意味についていくつか述べさせて頂きます。第一によりよい病院を作るのは医療従事者の義務であり、能力であります。単に第三者の評価を受けるのではなく、私たち自身で自己点検して、病院建設を進めることに意味があります。第二に、今後5年間の病院発展の展望を作るきっかけにすることです。全面的な病院機能評価は今後の方針作成の基礎となります。第三に、他の病院に先駆けて病院機能を整備することは、県立病院として県の医療の充実に貢献する重要な使命であります。以上のような事業を展開し、自治体病院として一層の発展を計るつもりであります。

この1年間、各職員のご協力をお願いし、新年の挨拶とさせて頂きます。

(『職員向け2002年年頭挨拶』所長、千田富義)

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