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rTMS療法のご紹介

 平成29年10月、うつ病への新たな治療として反復経頭蓋磁気刺激療法(repetitive Transcranial Magnetic Stimulation 療法、rTMS療法)がわが国で承認され、令和元年6月より保険医療で実施することが可能となりました。それに伴い、当院でも令和2年4月よりうつ病に対するrTMS療法を開始いたしました。

  rTMS療法は、NeuroStar(ニューロスター)という専用の装置を用いて行います。頭皮に安全なコイルを当て、コイルが作り出す磁力の働きによって脳内(本治療では左側の前頭前野という場所です)に渦電流と呼ばれる電気の流れを発生させます。発生した渦電流によって刺激部位を中心とする神経細胞が活性化されることにより、うつ症状の改善が得られると推定されています。この安全性の高い脳刺激療法は、新たなうつ病治療の選択肢として、また、薬物療法など従来の治療法を補いながら回復へと導く手段の一つとして期待されています。

 rTMS療法の対象は、「既存の抗うつ薬による十分な薬物療法によっても期待される治療効果が得られない中等度以上の成人(18歳以上)のうつ病」とされ、そのうちの3から4割の方々に効果を有すると考えられています。また、rTMS療法によって寛解と呼ばれる発病以前に近い状態まで回復する割合は2から3割と考えられています。再発率についてのデータは十分にありませんが、rTMS療法が有効であった方々の6カ月から12カ月の再発率は1から3割と推定されています。その他として、抗うつ薬による薬物療法が副作用によって十分に実施できない場合は、rTMS療法の対象となりうるとされています。

 当院でのrTMS療法は、経頭蓋磁気療法室という専用の部屋にて、訓練を受けた医師によって、定められたやり方で行われます。この治療は外来と入院の両方で実施出来ますが、当院では当面のところ入院のみでの対応となります(入院期間は病状にもよりますが、1から2カ月程度となります)。rTMS療法をご希望なされる場合は、ご自身の担当医師へご相談をお願いいたします。ご相談いただいた上でrTMS療法の対象と考えられる場合は、担当医師を通じて当院を紹介いただく形となります。

 なお、現状では当院の患者受け入れ人数に限りがあることなどにより、実施までに一定の時間をいただく場合があることをご承諾願います。また、rTMS療法は、治療の刺激部位に近い体内に人工内耳、脳内の磁性体クリップ、深部脳刺激装置・迷走神経刺激装置といった金属性の治療器具がお有りになる方、心臓ペースメーカー植え込み術を受けられた方には実施することが出来ません。この点につきましてもご承諾をいただければ幸いです。

写真:経頭蓋磁気療法室
経頭蓋磁気療法室

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