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リハセンだより第19号(2003年4月発行)

リハビリテーション医療とはどんな医療?:その急性期・回復期のはなし

リハビリ(医療)の意味

リハビリという言葉はちまたにあふれていますが、その内容を正確に理解している方はそう多くないでしょう。脳卒中や交通事故・労災による頭部外傷・脊髄損傷などの後遺症によって、立ち上がる、移動する、などの基本的動作や日常生活活動(これをADLといいます)が困難となります。リハビリ(医療)では医療チームにより障害とその障害をもった個人を治療対象として取り組みが開始され、困難となった基本的運動能力の再獲得を目指す理学療法、応用的動作能力、社会的適応能力の回復を目的とした作業療法、言語能力の向上を目的とした言語療法、そして復帰に向けた環境調整などが行われます。

リハピリの時期による分類

主として脳卒中や頭部外傷など、発症日が明確な疾患では、その障害からの時期により急性期・回復期・維持期のリハビリが区分されます。急性期は、障害の原因発生から1カ月以内、回復期は急性期の後に引き続く時期で約3カ月から6カ月程度を指します。急性期は原因となる疾患自体の治療が優先されますが、それに並行してリハビリを行う重要性が指摘されています。回復期は急性期病棟や病院からリハビリ専門病棟・病院に移って行われる本格的機能回復訓練の時期です。回復期リハビリの終了後は自宅に近いリハビリ可能な病院や医院へ紹介され、在宅、病院、施設のいずれかで訓練を続けます。これを維持期リハビリと言います。

回復期リハビリとその病棟環境

回復期リハビリは回復期リハ病棟という保険診療上の一定条件を満たした病棟環境で行われるのが通常です。脳卒中などの発症から3カ月以内の患者さんが対象です。県内でも、県立リハセン、中通リハビリ病院、由利組合病院などが回復期リハビリ病棟を持っています。

機能障害の回復とその評価

回復期は文字通り、動作能力や認知能力など、障害されていた能力が回復する時期で、その客観的評価が大切です。理学的評価や言語評価を反復してその回復を知ることが出来ます。また反復する脳血流検査も回復の証明に有効です。

リハビリの新しい潮流と今後の展開

傷害された神経を電気的に刺激する機能的電気刺激が機能回復治療として一部実用化されています。また手足の運動障害は時に回復可能性があるのに不使用が習慣化していることがありこの場合、健側を抑制する訓練方法の効果が報告されています。また転倒などの恐怖感を取り除き訓練効果を挙げるなど、新しい訓練手法が開発されつつあります。さてリハビリ医療は、その普及や実践に経済コストが密接に関連しています。しかし今後、高齢化社会進展の中で、脳卒中早期リハビリの普及、地域リハビリプログラムの普及、転倒予防のケアや訓練、廃用症候群の予防・治療法の知識が普及し、ますますリハビリ医療の重要性が認識されるようになると思われます。

(医療部長:佐山 一郎)

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