センターについて


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リハセンだより第42号(2009年1月発行)

新年のご挨拶

所長:小畑 信彦

あけましておめでとうございます。

何かと慌ただしいニュースばかりが飛び交いますが、皆様、いかがお過ごしでしょうか。

さて、当センターは今年4月に迫った独立行政法人化に向かい、急ピッチで準備が進んでおります。春以降、秋田県立脳血管研究センターとともに、「地方独立行政法人秋田県立病院機構」という長い名前の組織体の一部となり、色々と工夫をこらした運営が行われることになると思います。

当センターでの診療体制は、基本的には従来と変わりません。従来の場所で、従来と同様の受診手続きでご利用できます。戸惑われることは無いと思います。ご安心下さい。

実際の診療内容ですが、今年はリハビリテーション科での診療内容がより充実することが、まず挙げられます。リハビリテーションにおいては、平日の訓練により訓練効果が得られても、休日に訓練を休んでしまうと訓練効果が低下してしまうために、休日も平日と同様に訓練できる体制が望ましいとされています。すなわち、365日、毎日訓練することが望ましい患者さんが多数いらっしゃるというわけです。そのため、365日、毎日の訓練を行うことにより、より高いリハビリテーション効果を得るために、理学療法士、作業療法士等の職員を増強中です。現在も休日に一部の職員が出勤し、リハビリテーションを行っていますが今春以降はより多くの職員が休日に出勤し、毎日、切れ目のない訓練を行う体制となる予定です。また、より効率の良いリハビリテーション体制を構築するために、各地域の病院、関連施設等が連携し、全体として患者さんに必要な時に必要な医療やその他の援助が得られる体制を構築するよう模索中です。

精神科では、精神科救急機能をより充実させ、当センターの利用をより容易にするために各病院、各関連施設との連絡体制を強化中です。高ストレス社会でのメンタルヘルスに関する知識の普及のために、今年も積極的に講演等により、関連知識の普及に努めていきます。認知症診療においても、より質の高い診療を提供するために、医師の補強、技術研修の強化などが計画されています。さらに、高次脳機能障害者への相談体制も整備される予定です。

他に、診療を助けるための改善として、医療情報システムを最新のものに更新するための作業が着々と進んでいます。様々な診療情報が現在以上に各部署で同時に情報共有できることにより、診療の質をより高めてくれることが期待されます。さらに医師の診断書等の文書作成に関わる事務作業の軽減化により、患者さんやご家族へより充実した説明の時間等が取れるのではないかと期待しております。

今年は体制変更とともに、より機能がアップした形で当センターの診療が展開できるだろうと思います。皆様とともに充実した1年を過ごすことができることを願っております。よろしくお願い申し上げます。

2008年リハセン運動会&クリスマス会

写真:2008年リハセン運動会&クリスマス会

新型インフルエンザについて

リハビリテーション科:中澤 操

この原稿は医学的知識をもたない方々が、新型インフルエンザについて理解を深めるために書いたものです。もし、このリハセン便りの発行時、すでに新型インフルエンザが流行していても、どこか役に立つ情報があるように、書いてみます。

新型インフルエンザとは何ですか?

文字通り、今迄出現したことが無い、全く新しいタイプのインフルエンザのことです。何が問題かというと、人類が1度も感染したことが無いウイルスによって発症するため、誰も免疫を持っていません。したがって、感染した場合に重症化すると想定されています。

毎年予防接種を受けているインフルエンザとどこが違うのですか?

予防接種というものは、既にウイルスが分離同定されていて(つまりウイルスがどういう性質のものかが判明していて)、そのウイルスを元にして作ったワクチンのことを言います。だから、毎年の予防接種は、「従来のインフルエンザ」の予防、ということになります。

新型インフルエンザは、いつ、どこで発生するのですか?

その前に、鳥インフルエンザについての知識が必要です。

鳥インフルエンザとは何ですか?

渡り鳥がもっているウイルスです。ただし通常渡り鳥は発症しません。(ときどき白鳥が問題になりますが全体からみると健康なまま渡りをしている鳥のほうが遥かに多いです)ところが渡り鳥がもっているウイルスが土着の家禽類(養鶏場など)に感染すると、鳥インフルエンザを発症し重症化します。つまり、健康な渡り鳥がウイルスを持っていて(このこと自体は自然そのもので悪いことでもなんでもありません)、それが土着の家禽類に感染して重症化したものを鳥インフルエンザといいます。

鳥インフルエンザの何が問題なのですか?

鳥インフルエンザは鳥だけの感染のはずですが、何かのきっかけで人にも感染することがあります。これを「鳥―ヒト感染」と称します。この「鳥―ヒト感染」による鳥インフルエンザは東南アジア、南アジア、中東に広がっていて、小児から30代までの若年者の死亡率が60パーセントという状況です。そしていつか鳥インフルエンザウイルスが、何かのきっかけで「鳥―ヒト感染」から「ヒト―ヒト感染」のウイルスに変化すると予測されています。これを新型インフルエンザといいます。

新型インフルエンザは、いつ、どこで発生するのですか?

誰にもわかりませんが、はっきりしていることは必ず発生すると予測されている、ということです。

いつ?:わかりません、すでに世界のどこかで発生しているかもしれません。

どこで?:大陸か東南アジア地域と推測されています、そのうちのひとつの国には新型インフルエンザ対策専門として、日本から医師が派遣されています。これは治療のためではありません(まだ発生していないので治療法はわかりません)。発生状況を把握し、対策をたてるためです。

何に気をつけたらいいのですか?

正確な情報を得ることです。これは政府や都道府県単位の行政主導で行なわれることになっています。日本に海外から新型インフルエンザが入ってきた時に、いかにそれを知り、周囲への感染を防ぐかが最大の鍵です。各県で1例でも発生したら、全ての学校は閉鎖されることも決まっています。それにより蔓延が防げるのです。また医療関係者や警察、消防関係に予防接種(鳥インフルエンザから作ったワクチンで当面対処する)をすることも既に行なわれています。今後、発生の有無、流行の時期によって実に様々な状況が予想されますが、個人で勝手に判断せず、そのときそのときの指示を守り、個人では健康を守る生活パターン(栄養、水分、睡眠、手洗い、うがい)を心がけましょう。地震は日本中で起こることはありません、誰かが助けにきてくれることもあるでしょう。新型インフルエンザは、もし発生すると日本全国で広がる危険が高いです、誰も助けにきてくれない、自分の地域は自分たちで守るという姿勢が必要です。そのためにみんなで協力していきましょう。

心の健康コーナー:『心の風邪:うつ病』

その6:うつ病と自殺

ご存じの方が多いと思いますが、うつ病の場合、1番問題になるのは自殺です。うつ病は基本的に良性の病気で、時間はかかっても治ってしまうのが普通の病気です。しかし、うつ病では病気の症状の特徴から、自殺が生じやすいことも事実です。これは

  1. ゆううつな何とも重苦しい気分が続く
  2. 不安や焦燥感が強いと何とも言えない苦しみを体験する
  3. 自律神経失調の症状も伴い、体調そのものも非常に悪いように感じる
  4. 現在の生活を送る事自体が苦痛になり、自信喪失に陥る
  5. 将来の見通しを誤って悲観的にとらえるために絶望を生じやすい

などの状況になるからだと思います。

自殺は何としても防がなくてはいけません。そのためには

まず自殺したいという気持ちの有無を確かめる必要があります。実際にきいてみましょう。

  1. もう何もかも捨ててどこかへ行きたくなったりしますか?
    「YES」なら軽い自殺念慮(死んでしまいたい気持ち)あり
  2. 生きているのがいやになることがありますか?
    「YES」なら自殺念慮あり
  3. 自殺の手段を考えたことがありますか?
    「YES」なら切迫した自殺の危険あり

どの場合でも自殺念慮があれば早急に精神科を受診するべきです。
特に3.の場合は緊急性があります。

自殺のおそれが強いと判断された場合の鉄則はとにかく本人を1人にしないことです。トイレの中まで一緒について行くぐらいの気構えが必要です。

今回のお話は少し、生々しかったかもしれません。ご参考になるでしょうか。

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