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リハセンだより第26号(2005年1月発行)

2005年「新年のご挨拶」所長:千田 富義

写真:所長:千田 富義

新年明けましておめでとうございます。

昨年は、この数年来センターの課題であった日本医療機能評価機構の認定を受けることができました。

センターの病院機能が一定レベルにあることを認定したものです。これまでのセンターの医療方針に確信を持ち、これを契機にさらなる医療サービスの充実を目指す所存であります。今年もよろしくご支援下さるようお願い申し上げます。

さて、昨年は介護保険制度見直しの議論がいくつかありました。間近に迫った制度改定のための議論であります。その中で、要支援、要介護1の方々の生活機能が充分維持されていないことが指摘されています。そのため、今回の改定ではとくに介護予防に重点が置かれることになっています。また、痴呆が介護上問題になりやすいことも取り上げられています。

これに対して、身体ケアモデルだけでなく、痴呆ケアモデルも考慮した体制作りに取り組むことが強調されています。

私のこれまでの経験では、介護予防あるいは生活機能低下予防には2つの側面からの対応が重要と考えています。1つは、在宅生活で行われる機能維持目的の介護やリハビリテーションです。もう1つはそれでも機能低下した場合の短期集中的な入院リハビリテーションです。在宅での機能維持には、主に介護保険制度のサービスが利用されます。短期集中リハビリテーションはリハビリテーション専門病院で行われることになります。在宅サービスと短期的入院リハビリテーションを巧みに組み合わせることにより、介護予防が達成可能となるわけであります。

センターでは、脳卒中などの病気にかかった直後の方々のリハビリテーションを積極的に行ってきました。それだけでなく、病気の状態は変わらないにも関わらず、介護の量が増えてきた方々のリハビリテーションにも力を入れてきました。つまり介護予防のためのリハビリテーションです。これまでの分析では、適切な時期であればリハビリテーションにより身体機能の改善が高頻度に見られることも明らかとなっています。また、痴呆の患者さんに対しても、リハビリテーションを試みてきています。その結果、在宅介護では得ることができない種々の側面からの成果が見られています。

私は、介護保険制度で問題となっている介護予防について、センターとしても病院の立場から取り組んでいこうと考えています。

まず、これまで蓄積してきたデータを基に、介護予防のためにセンターの診療体制を一層効率化することが可能かどうかを検討するつもりです。また、病院から見た介護予防戦略について行政や関係機関と意見交換や提言も行えればよいと思っています。さらに、健康な方も含めた県民の皆様に講演や相談事業などで介護予防についての私たちの考えをこれまで同様にお伝え続けるつもりです。

以上のようなことを考えながら、今年も、センターの機能を高めること、そしてその成果を県民の皆様へ還元することに奮闘するつもりです。

御協力の程よろしくお願い申し上げます。

「新潟県中越大震災にみまわれた川口町に、こころのケアチームを派遣」副所長:飯島 壽佐美

2004年10月23日に新潟県を震源とする大地震が起こったときには、秋田県でもかなりの揺れを体験された方が多いのではないでしょうか?

情報が増えるに従って、その規模と被害の大きさに大変な衝撃を受けました。秋田県は、まもなくより、一般医療チ一ムを始め、保健師さんや事務の方などが現地への応援に派遣されました。

そのなかで、阪神・淡路大震災の教訓から、被災者の人達への心のケアの重要性が強調され、全国から、種々の形での支援が行われました。

写真:被災地で支援を行う職員

秋田県としても、当センターを中心にした「こころのケアチーム」を派遣する準備を始めました。

当県チームが現地に入る日を指示するよう伝達しましたところ、新潟県の担当部署からは、全国からの支援申込が多くあるので、全体を整理して、現地の需要に適した息の長い支援体制を組みたいので、出発準備をして待機するようにとの要請がありました。

結局、11月24日の出発で、これまでの支援チームよりも長期となる、1カ月間の支援の要請が入りました。当初は4チーム編成を考えていたのですが、往復の所要時間等を考慮して、6班を編成することを決定いたしました。各チームは精神科医1名、看護師1名、事務系1名での構成を基本とし、7日間職場を離れますが、それぞれが現地で活動する日数は5日ずつとなり、合計で30日間の活動を行うことしました。第2班の医師として、市立秋田総合病院から倉田先生が参加されましたが、他の延べ24名は全て当センターの職員となっております。

震災直後の被災地では、通院治療を受けていた患者さんが、通院手段を断たれて困っていたり、大きなショックで精神変調を来たされた人などの治療が求められていました。その後は、避難所などで不眠になったり、抑うつ的になられた方などへの対応や、電話(こころのケアホットラインが早めに設置された。)による相談が中心となったようです。

当センターのチームが活動を始めた11月下旬頃からには、避難勧告が解除され、その後は、自宅や仮設住宅での生活を始めた人達への支援が主となってきているようです。そして、これからの時期には、来所(現地にある町営施設を拠点として利用させていただいております)相談や訪問による直接のケアとともに、メンタルヘルス、メンタルケアの観点からの地域支援が重要になってくるものと思われます。現に、これまでに派遣されたチーム員からも、今後は中高年者のうつ状態、アルコール乱用、小児のメンタルヘルスヘの対応が特に必要となるとの報告を受けています。

この原稿の締め切りとなる、12月13日現在では、既に第3班が帰任しており、第4班が活動しております。2005年4月には、支援活動全体についての御報告をさせていただくことになっております。

《運動会・クリスマス会》in REHASEN 2004

リハセン恒例行事の運動会(10月14日)、クリスマス会(12月16日)が行われました。

写真:運動会
写真:クリスマス会

リハセンにブラジルから研修生が来ました!

写真:スザナ水島みゆきさん

10月18日から11月16日まで医療技術者国際交流財団と日本作業療法士協会からの依頼で当センターにブラジルからスザナ水島みゆきさんが研修に来ました。スザナさんはブラジル、サンパウロのやすらぎホームという精神科の施設に勤務している作業療法士です。作業療法士としての経験は20年とベテランの方ですが、対象者に日系人や日本人もいるということで日本の精神科作業療法と日本の文化に触れたいということで来日されました。

当センターでは精神科作業療法、デイケア、痴呆病棟、援護寮を中心に研修し、また秋田大学医学部保健学科の石井教授のご配慮で秋田市とその周辺の精神科の病院の施設見学を行いました。

11月19には日本での研修を終え、帰国されました(ブラジルまでは24時間かかるそうです)。

当センターの研修がブラジルで少しでも役に立つことを願っています。

【シリーズ:検査データその2】『検査データにおよぼす検体保存と採血量の影響』

生化学検査や血液検査(血算)は室温保存ですが、止血凝固検査や一部の特殊検査は熱により活性が低下するため冷蔵庫保存、氷結保存提出となります。検体提出後は冷却遠心した後、ただちに検査を実施するか、凍結保存するため問題はありません。

止血凝固関連を例にとりますと、病棟において早朝採血をする時は、冷蔵庫保存が原則となります。採血量は正確に線まで採血することが大切です。採血量が少ないと血液が抗凝固剤により希釈され、検査データが低値となるので注意を要します。このため真空採血を行うときは、線まで採血されているかどうか確認することが大切です。

正しい検査データを得るためには、採血と採血量(血漿で実施する項目)、検体保存が重要です。検査科における精度管理も大切ですが、臨床医に正しいデータを提供するためには、採血が最重要であると思います。

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