患者の皆様へ


patient

副作用を考える(2017年2月掲載)

精神科領域の治療法で主流となっているのは薬物療法です。精神面の変調が生じると「心の病気だから心が原因だろう」と考える人は沢山います。そう考える方が自然だと思います。しかし、実際に精神医療では「脳が病気になったために、心の変化が起きる」病気が非常に多いのです。だから、多くの病気で「心を変える必要は無いが、脳の状態を安定させるための薬を服用する」ことが必要になります。しかし、この際に困るのは副作用の問題です。

精神科の薬のイメージを言えば、

  1. 合えばよく効くことが多い。
  2. 合う、合わないの個人差が大きい。
  3. 不愉快な副作用(口が渇く、手がふるえる、眠くなる等)が多い。
  4. 副作用の出やすさに個人差が大きい。
  5. 数種類の薬を服む必要があり、服み方が複雑である。

等があります。

その通りだと思います。副作用について言えば、数十年前よりはずいぶんと軽くなってきましたが、まだまだ多いと思います。しかも、薬の効き目そのものと関係する副作用もありますので、同じ効き目の薬では、強い弱いの区別はありますが、同じ副作用が出てしまう事も多いと思います。

現在、精神科の薬を服んでいる方にお話ししたいと思います。副作用かなと感じたら、まず、その事実を担当のお医者さんへ話してみて下さい。副作用を軽くするように工夫してもらえるはずです。医学的理由があり、軽くすることが出来ないようなら、その理由を説明してもらえるはずです。

副作用の多くは、ご自身が感じていても話していただかないとわかりません。「こんな事を言うと嫌われるのでは無いか」と心配して黙っている方もいるかもしれませんが、心配は必要ありません。まず、相談してください。そして、どうしても服まなければならない事が分かったなら、キチンと服むようにしましょう。

もらったお薬を間引きして服んでいる方も時々いますが、お金の無駄遣いになるだけでなく、お薬が効いたか否か、副作用が出たか否かを医師が判断する上で誤りが生じます。医師はお薬を出す時に、常に「うまく効いたか?」、「副作用は出なかったか?」を頭の中で考えています。薬の実際の効果、副作用がわからなくなると医師も困りますが、患者さんやご家族はもっと困ります。ですから、副作用があった場合、必ず、教えていただきたいと思います。

効果のある薬には必ず副作用があります(昔からよく言われる言葉で、「全く副作用の無い薬は全く効果の無い薬だ」という表現があります)。あって当たり前なのです。遠慮は無用です。ご相談をお待ちします。

ページトップへ戻る