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再発防止のための服薬

精神科の病気は自覚症状が苦しく、治るまで時間がかかることが多いので、よくなった後、やれやれ、少しでも早く精神科にかかるのはやめようと考える方がほとんどだと思います。その通りだと思います。誰でもそう考えると思います。

しかし、精神科の病気は残念ながら再発しやすいものも多く、その場合、再発防止の服薬をお勧めすることになります。その際ですが、その薬に全く副作用が無い場合は服薬する手間が面倒なだけですが、やっかいなことに副作用がある場合があります。眠気、口の渇き、手のふるえなどが多いようですが。

そうすると、当然、薬をやめるか、減らすかどちらかにして欲しいとの相談を受けます。当然なことです。しかし、その場合は薬を減らす、あるいはやめた場合の長所と短所を説明して判断していくことになります。薬を減らせば、当然、副作用も減ります。しかし、同時に再発防止の作用も減ってしまいます。やめれば、副作用は無くなりますが、再発の危険は大きく増大します。ですから、それぞれのプラス、マイナスをお話ししてどの方針にするか、選んで頂くことになります。

例えると、病気が治ったばかりの状態は、戦国時代の戦争が終わった直後の戦場のような状態です。敵の兵隊はもう姿を見せませんが、時々、流れ矢が飛んできます。矢が当たると、再発します。再発防止の薬を多く服んでいると、鉄のよろいで全身をおおっているようなもので、少しぐらい強い矢が当たっても大丈夫です。薬を少なくすると、よろいを軽い皮のよろいにして、手や足はむきだしにしたまま、戦場を歩くようなもので、強い矢が当たったり、弱い矢でも手足に当たったりすると怪我(再発)をしてしまいます。軽い不十分なよろい(薬)にするか、重くて動きにくい(副作用がある)よろい(薬)にするか、これは御相談ということになります。なお、薬を完全にやめるのは戦場を裸で歩くようなものなので、普通はお勧めできないことがほとんどです。

イラスト:うつ病再発防止治療のイメージ

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